「カクテル」とは数種類の液体をミックスした飲み物です。例えば「水割り」というのもカクテルの一種と言えるかもしれません。かならずアルコールを含めなくちゃいけないということもありません。果汁を搾って甘みを加えてソーダで満たす、というのも立派なカクテルです。
「カクテル」という語が広まったのは、そんなに大昔のことではありません。ですが、カクテルという語がなかった時代でも、例えば非常に苦い薬用酒を、果汁で割って飲みやすくする…などの工夫は、もっと以前から行われていたでしょう。
「カクテルは悪酔いする」と敬遠する声もたまに聞かれます。決してそんなことはありません。できる範囲で上質な材料を用いて、キチンと丹誠こめてつくったカクテルは最高の一杯になり得るものです。あまりに美味しくて飲み過ぎた挙げ句に二日酔い…というのは、カクテルだからというより、単に酒量をオーバーしたためでしょう…。
この方法は一見地味ながら、シェイクするのとはまったく異なった表現ができます。「ステア」とは、ミキシンググラスと呼ばれる、ビーカーのような入れ物に氷と材料を入れて、柄の長いスプーンでくるくる掻き混ぜて冷やすことを言い、そのあとカクテルグラスへ注ぎます。シェイク編と同様、ステアの特徴を挙げてみます。
- 1
- 混ざりやすいもの同士を混ぜる
- 2
- お酒の強さや素材そのものの味がよくでる
- 3
- 水っぽくなりにくい
左はアブソリュート社ウォッカのボトルから作られたミキシンググラス。右はウォッカの入ったボトル。両方とも冷凍庫から取り出したばかりなので、白く霜を結んでいます。
1番については、例外もありますが、お酒同士であれば割にサッと混ざり合います。ですから、必要以上に水っぽくなりません。
2番については、「ドライ・マティーニ」「マンハッタン」など、ベースになるお酒のキリッとした味わいが身上のカクテルなどをつくる場合に、たいへん有効です。
同様に3番については、ステアに比べてシェイクでは、どうしても出来上がりに溶けた氷の水分を多く含みます。ですので、1番から3番までそれぞれ共通して言えることですが、なるべく余計なものを含めず、お酒そのものの味を引き立たせて楽しみたいときに、ステアという方法をとります。
その際、できることなら、あらかじめ材料を冷やす(ミキシンググラスも)などの工夫があればベターです。使用する氷も、より引き締まった固い氷であれば、なおベストでしょう。
氷の良しあしは、カクテルづくり全般に言えることですが。