ウィスキーとは、麦やトウモロコシなどの穀物を原材料とする蒸留酒です。いろいろな国で生産されていますが、特に有名なのは、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、そして日本でしょう。アルコール度数は40度くらいから、強いもので60度を越すものもあります。木の樽で数年から十数年、なかには数十年もの長期にわたって寝かせる(熟成)ため、最初はすべて無色透明だった原酒も、琥珀色をしているのが特徴です。
それでは、国別・タイプ別にみていきます。(ウィスキーの詳しい製造工程などはここでは省略します。産地や特徴、細かな違いなどはありますが、おおまかには似通った工程を踏みます。いつか別ページで解説したいと思います。)
グレンモーレンジ蒸溜所のマークが入ったミニカー。奥にみえるのが同蒸溜所のボトル。
英国北部のスコットランドで造られるウィスキーを総称して「スコッチ」と呼びます。スコッチにも幾つかタイプがあり、このページではまず「シングルモルト・スコッチ・ウィスキー」について述べていきたいとおもいます。
モルトとあるように原料は大麦麦芽を使います。大麦麦芽だけを原料に用いてウィスキーを造る工場(蒸溜所)は、スコットランド各地におおよそ百ケ所前後あります。それらの蒸溜所から造られるものを「モルト・ウィスキー」と呼びます。こうして出来るモルト・ウィスキーは、大麦麦芽を使い蒸溜する、という共通工程ながら、地理的な違い(気候や水質など)や各蒸溜所独自のノウハウの違い(蒸溜器の形状や熟成方法その他)などもあって、驚くほど様々な個性をのぞかせます。そして、他の蒸溜所のモルト原酒が一滴たりとも混ざってないものだけを特に「シングルモルト・ウィスキー」と呼ぶのです。
現在、世界各地でシングルモルト・ウィスキーが大人気です。流行の波があるブームというよりは、すでに市民権を得た感すらあります。その要因は、先にも述べたように「各蒸溜所の個性を楽しむ・楽しめる」ところにあるようです。
幸いなことに今では、日本語による詳細な書籍も豊富です。それでも、それぞれの個性を文字や言葉で説明するのは非常に困難で、味わい・香り・見た目・余韻などが様々です。こればかりは実際に味わってみるほかありません。たとえ同じ蒸溜所でも、熟成方法や寝かせる年数の違いで、異なる個性を発見できます。これが別の蒸溜所ともなればなおさらです。
その日の気分にあったものをチョイスする・自分の好みを追求してみる・チャレンジしたことのない蒸溜所を試してみるワクワク感、など、懐の深さが、まさにシングルモルトの醍醐味です。
具体的な銘柄には「マッカラン」「タリスカー」「ボウモア」などが挙げられます。
シングルモルトとは、単一蒸溜所のみの原酒をボトリングしたものを指す、と述べました。
では、違う蒸溜所のモルト原酒が混ざったタイプのウィスキーもあるのか、と問われれば、答えはイエスです。シングルモルトに対して、こちらを「ヴァッテッドモルト」ウィスキーと言います。すこし聞き慣れないタイプかも知れません。
通常、モルト同士を混ぜることを「ブレンド(ブレンディング)」と呼ばず「ヴァッティング」と言います。確かに少数派ではありますが熱烈なファンもいます。2カ所から数カ所の蒸溜所のモルト原酒をヴァッティングしますが、モルトウィスキーには違いありません。
ただ現在では、「モルト」といえばシングルモルトのことを指すのが一般的なようです。