運命的なオレンジ

西麻布バーオレンジ店内

1998年秋、世の中は「しし座流星群」の話題でなにかと盛り上がっておりました。我々夫婦も、それぞれ当時の勤め先からの帰宅後、観測スポットを探そうと真夜中の散歩にでかけました。

ウロウロしていた時、「いい場所がありますよ」と若い男性に声をかけられました。A氏です。

A氏は近くの建築事務所にて徹夜の仕事中で、休憩の合間にそとへ出たところ、空を見上げながら歩く我々を見かけて声をかけ、流星がよく見える場所へ誘ってくれたのです。そして三人で流星群を堪能した後、「コーヒーでもいかがですか」と言うA氏のお言葉に甘えて、事務所にお邪魔することにしました。建築やインターネットの可能性の事などを熱く語られるA氏が、その時はとても印象的でした。

以来、親交を暖めること一年以上、そして2000年5月、西麻布「バーオレンジ」が誕生した訳ですが、内装デザインを手掛けてくれたのは、流星のように我々の前に現れたA氏であるのはモチロンのことです。

こう考えると、人との出会いによって、先の人生がどう変化するのか判らないものですね。実は当時、近い将来につくるであろう自分の店の内装デザインは、別のかたが、おぼろげながら候補にあったのです。あれから数年経ちますが、A氏は勿論、A氏のご家族みなさんとのお付き合いは、今も変わらず、ほのぼのと続いております。

ちなみに、あの日の運命的な出会いの当日、我々の前にコーヒーは出てきませんでした。

オレンジ便り 2004年 11月配信分


追記:その後まもなく、A氏は独立してご自身の建築事務所を構えられました。

芦沢啓治建築設計事務所ウェブページ

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