(前編からの続きです。)
バーに入って席に着き、まずはご自分の飲みたい物を注文するとします。その注文の際、その時のご自身にとって一番の理想の飲み物を頼むには、最低限いくつか伝えるべきポイントがあります。それが「なにを」「どのように」です。「どれくらい」というのも加えていいかも知れませんが、とりあえず重要なのは先の二つです。
まず「なにを」。これに当てはまるのがお酒の種類や銘柄です。スコッチでもバーボンでも、ラムでもテキーラやブランデー、リキュールなどもそうです。前編に出てきた私の「ワイルドターキー12年」というのは、バーボンの一銘柄です。そもそも何を飲んでいいやら判らない、お酒やバーの初心者の方にとって、まずはここが最初の難関です。でも、ここはお店の人やお連れのかたとのやりとりや相談あるのみ、です。
たとえば、病気や怪我で病院にいった時の、医者との問診と一緒で「今日はどうしましたか?」と聞かれて、どこが痛い、どのように痛む…などを伝えるのと同様に。そうでないと、的確な診断やクスリが処方されません。こと、バーでの注文では、アルコールの強弱・好みの味・どの様な酒に興味があるか・今まで飲んだ中で印象的だったお酒・中華を食べてきたのでサッパリしたカクテルを、などを伝えると良いでしょう。会話のキャッチボールですね。これが、バーにおける醍醐味のひとつです。せっかく目の前に多種多様のお酒、そして何よりも、お酒やサービスのプロがいるのです。ここを楽しめるようになればしめたものですね。
次に「どのように」です。これが今回、一番お伝えしたかった事柄です。仮にワイルドターキー12年に決めたとします。どのように、とは、このターキー12年をどう飲むかです。耳の穴じゃありませんよ。まずは一般的と思われる「飲みかた」を挙げてみます。
【ストレート】 文字通りボトルのお酒そのままをグラスに注いで飲みます。この場合、ターキー12年の力強さと芳醇な香りが楽しめます。
【オン・ザ・ロック】 氷が入ったグラスにお酒を注ぎます。常温だったターキー12年を冷えた状態でたのしめます。冷えることにより、香りは抑えられてしまいますが、適度な冷たさは、舌に美味しく感じます。時間とともに氷が溶けて、グラスのなかのお酒は薄まってきます。
【水割り】 氷が入ったグラスに、ワイルドターキー12年と適量の水を注いで飲みます。アルコールが軽めになり飲みやすくなりますが、美味しい水割りの調製は実は難しいものです。
【ソーダ割り】 水割りの水の代わりに、炭酸水を注ぐ飲みかたです。シュワシュワ弾けるソーダによって爽やかさを楽しめます。水割りと大差ないように思えますが、印象は一変しますよ。
【トゥワイス・アップ】 グラスに注いだワイルドターキー12年に水を足しますが、その際、氷は加えません。「トゥワイス(2倍に)」という語が示すように、お酒と同じ量の水を加えるのが一般的ですが、もちろんお好みで構わない(後述あり)でしょう。常温なので香りも豊かなまま、むしろ水を足すことで開いてくる香りがあります。アルコール度数が下がり飲みやすくなります。当然、だんだんと水っぽくなるような事もなく、最後まで美味しさを楽しめます。
ざっと以上が、よく見られる代表的な「どのように」です。
(後編へ続きます。)