【 リーアム・デヴリン レシピ 】
- ブッシュミルズ
- 30 ml
- ティフィン
- 10 ml
- ドランブイ
- 10 ml
- お湯
- 60 ml
- 温めたグラスにウィスキーとリキュール類を入れ、お湯を注ぐ。
クローヴ(丁字)とレモンスライスを浮かべる。
ハッキリ統計をとった訳ではありませんが、年間を通じて思うのは、お客様からのご注文には、時期によってある程度の傾向があるということです。
季節のフルーツを使うカクテルは勿論ですが、もっと根本的な部分にて。それはそうだと言ってしまえば身も蓋もありませんが。簡単に言えば「暑い時期は涼しげな飲み物を、寒い夜には身体の暖まるものを」ということです。
夏には、乾きを潤しキリッと冷えた1杯、そして寒風の中、芯から冷えきった冬にはジワッと効く1杯を…。
今回ご紹介するオリジナル・カクテルの制作は、秋から本格的な冬へ突入しようかといった時期で、「ウィスキーを使ったカクテルを2点ほどお願いします」という月刊誌「ブリオ(休刊)」からの依頼です。
まず、ふたつのうち1点は、これまで西麻布バーオレンジのウェブページでも何度か登場している「ケナクレイグ」カクテルを、そしてメインとなるもう一方は、雑誌が店頭に並ぶ時期を念頭に「ホット・カクテル」にしようと考え、すぐさま上記「リーアム・デヴリン」カクテルの骨格が浮かび上がりました。
作家ジャック・ヒギンズの数ある著書のひとつ「鷲は舞い降りた」。また、その続編「鷲は飛び立った」などに登場する人物のうち、大きな存在感を示すのが今回のリーアム・デヴリンです。教養があり、詩人であり、さらに銃の名手としても主人公をサポートすべく、ヨーロッパ各地を飛び回る八面六臂の大活躍をみせる、愛すべきアイルランド人です。
小説の中では、リーアム・デヴリンがウィスキーを嗜む場面や、ウィスキーで冷えた身体の暖をとるシーンがたびたび見受けられます。そのウィスキーとは勿論、デヴリンの祖国アイルランドの銘酒「ブッシュミルズ」です。
彼の愛するアイリッシュ・ウィスキーをベースに据え、先の大戦にて危険を顧みずにイギリスやドイツに潜入する彼の姿を、ドランブイ(英国産)やティフィン(ドイツ産)といったリキュールでアクセントを添えました。なお、ドランブイは蜂蜜風味の、ティフィンは紅茶のリキュールです。
映画にもなった「鷲は舞い降りた」ですが、この作品をご存じでなくとも、また、デヴリンより主人公クルト・シュタイナのほうが好きだ、とおっしゃるかたでも是非一度お試しいただきたいホット・カクテルです。
「リーアム・デヴリン」掲載誌 ブリオ 2009年 1月号