【 ボッティチェリ レシピ 】
- ザクロ果汁
- 1/3
- シャンパン
- 2/3
- ザクロの実をていねいにほぐし、清潔なフキンにくるんで搾る。
シャンパングラスに注ぎ、冷やしたシャンパンで満たす。
西麻布バーオレンジにて、よくご注文いただくカクテルの定番のひとつが、「季節のフルーツとシャンパン」のカクテルです。
瓶詰めジュースや紙パックではない、かつ、搾り置き等をせずにご注文の都度、丁寧にしぼった果汁は、味わいも香りも違います。それに加えて、私は季節感も大事な要素だと考えます。
幸いに、四季の移ろいを感じることのできる日本で(近頃はちょっと怪しいですが)その時期ならではの「旬」をぜひ愛でて頂きたいと思います。
レストランで供されるジビエ料理や和食の席での稚鮎などと同じく、バーにおいても「もう白桃のシーズンか」というふうに、季節の巡りにも想いを馳せていただくために。
さて、ここからが本題です。
フルーツとシャンパンのカクテルで有名なものに「ミモザ」があります。ミモザは、フルーツにオレンジを使います。色合いや弾ける泡の様子はたしかに、ミモザの花のように綺麗です。
もうひとつ著名なものといえば、モモとシャンパンの組み合わせの「ベリーニ」。日本のみならず、世界中で愛されているベリーニ・カクテルですが、ヴェニスのハリーズ・バーというお店で考案されました。このカクテル誕生の経緯や、その他同店のエピソードは色々事欠きませんが、ここでは先をいそぐことにします。
季節とともに当然、旬の味覚も変化します。シャンパンと合わせるフルーツですが、勿論、モモ以外の果物を使っても、美味しいシャンパンのカクテルは作れます。アルコール度数も軽めで、素材の良さもよくわかるこれらのカクテルは、食前でもその他のシチュエーションでも、そしてどなたにでも幅広く楽しめます。
- ベリーニ
- 桃
- レオナルド
- 苺
- ティツィアーノ
- 巨峰
- ラファエロ
- マスカット
- ジョルジョーネ
- スイカ
- カラヴァッジョ
- マンゴー
- ヴェロネーゼ
- キウイ
- フランジェリコ
- 洋梨
上に、カクテル名とそれに合わせるフルーツを挙げてみました。
なお、「ラファエロ」以下五つは、私が修業時代を過ごした「バー・ラジオ」による命名です。ご覧のように、ベリーニをはじめ、全てイタリアの芸術家の名前から採られました。
そして、今回の「ボッティチェリ」。
色鮮やかなザグロを使ったこのカクテル、命名する以前よりお作りしていましたが、やはり名前が欲しいところ。しかもここまでくれば、やはりイタリアの芸術家に倣うのが自然でしょう。
ということで、絵画「ヴィーナスの誕生」の中に描かれた絹布の印象的な赤色と、ザクロ果汁の鮮烈な色あいのインスピレーションから、作者である「ボッティチェリ」と名付けました。勿論いまのところ、他のお店で通用するネーミングではありませんのでご注意を。
なお、ザクロが出回るのは秋頃からです。
(ザクロとの組み合わせで既に別の名前が付いている、また逆に、ボッティチェリという名前の全く違ったカクテルが存在するやも知れません。不勉強な面があることをお含みおき下さい。)
「ボッティチェリ」命名 2006年頃