まもなく、世界中の多くの人々が待ち望むスポーツイベントの開幕である。
何千何万の観客、いや、テレビの向こうの視聴者を含めれば、何億十何億の熱狂的な視線と注目を集める、まさにスポーツの祭典である。
選び抜かれた精鋭たちがチーム一丸となり、栄光のゴールと、その先にある勝利を目指して戦い抜く姿に、人々は夢を貰い、狂喜乱舞し、一喜一憂するのである。
また、長丁場でもある大会期間中には、様々な人間模様が繰り広げられる。そこには、勝敗とはまた別の人間ドラマがあり、我々の心をとらえて離さない。
ある者は地面に叩き伏せられ、それでも再び起き上がっては走り出す。
ある者たちは敗北の涙と共に表舞台から去ってゆく。
だが、その姿は、観る者の胸を熱くすることに変わりはないのである。
卓越した身体能力と、研ぎすまされた精神力、緻密に練られたチームの戦略に加えて、強運をも味方に引き入れた者たちのみが、永く語り継がれるゴールシーンや、輝かしい栄冠を人々の記憶に刻み付けるのである。
ここ日本では、海外との時差の関係上、たとえば私の場合だと、仕事中の時間帯に当る為、リアルタイムでの観戦は叶わないのが残念だが、こればかりは致し方ない。
せめて願わくば、日本人の選手が世界の檜舞台で大活躍する勇姿を夢に見つつ、そして、そっと胸の内で、つぶやかずにはいられないのである。
……、
…………、
………「やっぱいいなぁ、ツール・ド・フランス。」
オレンジメイル 2006年 6月配信分
追記:このコラムを、オレンジのウェブページにアップしたまさに今、サッカー・ワールドカップの南アフリカ大会まっただ中です。さかのぼって、この文章をお客様に配信したのは、その前のドイツ大会の開催直前で、日本中がその話題で沸き立っていたタイミングでした。
最後までご覧になると「なぁ〜んだ」となる訳ですが、自転車ロードレースのファンでもある私が、ささやかながら一石を投じたくて、ミスリードを誘う文章に仕立てた次第です。
写真は、遠くまで広がるヒマワリ畑の中を駆ける選手たちを想った、真夏のフランスのイメージ画像です。フランスじゃないと思いますが。 【 オガワナオキのフリー写真素材集 】